1999/11/15最終更新
クマノミの魅力
イソギンチャクとの共生関係で有名なクマノミを飼うことにしました。イソギンチャクの中でたわむれているのを観察するのが面白いです。うちで飼育しているクマノミは、ハナビラクマノミです。”ハナビラ”を付けた由来は、花びらのようにきれいだからということではなく、初めて水族館で飼育しようとしたら、花びらのごとく次々と散って死んでしまったことから付けられたそうです。ある本によりますと、水質の変化に弱く病気にも掛かりやすいので、飼育が困難だと書かれているのを読みましたが、実際飼育していてそれほど弱いとは感じません。性質はあまり激しくなく、何よりもピンクに白の縦縞が魅力的です。
クマノミの日常行動
うちでは、2匹のクマノミが1匹のイソギンチャクに共生しています。クマノミの1日の行動は、朝明るくなると目を覚まし、イソギンチャクの内外でたわむれます。行動範囲は、イソギンチャクを中心にだいたい20cm以内です。近くに岩などの隠れ家あっても常にイソギンチャクを住みかとします。餌をとる場合、イソギンチャクの側近に落ちてきたものを取りに行って、くわえてイソギンチャクまで戻って食べます。あまり離れているものは見送ってしまいます。夜暗くなるとイソキンチャクの触手の中で眠ります。もしイソギンチャクが萎んで小さくなっていると横になって貼りついたり、あるいは触手を完全に引っ込めた場合は、イソギンチャクの胴体に寄り添って眠ります。イソギンチャクは、クマノミにとって安らぎの寝床となっています。
共生関係
クマノミとイソギンチャクは、共生関係にあるといわれています。クマノミは、外敵などが近づかないイソギンチャクの触手に入って身の安全を確保してもらう一方で、イソギンチャクは、クマノミに餌を運んで来てもらうという関係になっていることです。
しかし実際の水槽での観察では、イソギンチャクは、クマノミの食べ残しの餌がまわってくる程度で、クマノミに餌を運んでもらっているというようなことはないようです。逆にイソギンチャクに与えた餌を引っ張り出して横取りされることもあります。このようにクマノミが一方的にイソギンチャクを利用しているに過ぎないようです。またイソギンチャクに餌を与えるために割箸を突っ込もうとすると、クマノミはサッとイソギンチャクから離れて近くの岩に隠れます。したがってクマノミは、完全にはイソギンチャクを安全な場所とは考えていないようです。
クマノミのダンス
クマノミの体色は鮮やかなで結構目立ちます。また体をクネクネとさせて上下にゆすっていかにもアピールしているかのように踊ります。目立つということはそれだけ敵の目にも止まりやすいということです。一般の魚には目立たないように偽装したりするのも少なくありません。うちにはスカンクシュリンプもいるのですが、これも赤と白の目立つ色をしていてユラユラと誘うように踊ったりします。スカンクシュリンプは、他の魚のクリーニングをする習性を持っています。そのため魚にアピールしてクリーニングをさせてもらうためのトレードマークなのでしょう。同じクリーニングで有名なホンソメワケベラも尾鰭を振ってアピールする行動をとります。ところでクマノミはどのような意味があるのでしょうか?クマノミはイソギンチャクである安全な住みかを持ち、普段はイソギンチャクのそばでたわむれていて、敵が近づくとイソギンチャクの中に隠れます。このようにクマノミはイソギンチャクに守ってくれている代わりにオトリとなって敵をイソギンチャクに誘い込もうとしているようにもとれます。そしてクマノミのダンスは、敵をイソギンチャクに誘い込むゼッスチュアの役があるのかも知れません。
飼育方法
クマノミの飼育はさほど難しくはありません。案外丈夫です。なるべくクマノミのペアーだけで飼い、その他の魚は入れない方がよろしいです。イソギンチャクは必要ではありませんが、入れた方がクマノミも喜ぶし、共生している場面も観察できます。イソギンチャクの種類は、クマノミの種類によって相性があり調べてから選んだ方が良いです。餌は、通常スズメダイに与えるもので1日1〜2回で結構です。病気は今までにかかったことはありませんが、ストレスを与えないようにすればある程度防げると思います。
繁殖への道
淡水魚の繁殖は盛んに行われていますが、海水魚となると一部を除いて皆無に等しいでしょう。これは狭い環境や生態系によります。クマノミは海水魚の中でも割と繁殖がやさしく実績もあります。これは体が小さいこともあり、また親が卵が孵化するまで面倒を見てくれるためです。クマノミは性転換をします。初めはみんなオスなのですが、グループの中で最も大きなクマノミがメスに性転換するとのことで、大きさの異なった2匹をペアーにすれば大きい方がメスになります。うちでは大きさの異なった2匹がペアーになっていますが、今のところ繁殖の兆しはありません。まだ成熟していないのか、落ち着いた環境でないためかわかりません。もし兆候が見えましたら御紹介することに致します。
その他
現在の飼育タンクメイト
ハナビラクマノミ、ロングテンタクルイソギンチャク、スカンクシュリンプ、ネジリンボウ、ニシキテッポウエビ、ホンヤドカリ、クマノコガイ、アマオブネガイ、イソニナ