別館深海魚飼育

1999/08/31最終更新

深海魚は水深200m以上の深い場所に生息しており、太陽の光も届かない暗黒で水温も低く水圧も非常に高い場所で、魚の種類も少なく体型や習性も変わったものも多いです。また体格も大きくなるのが多く、水槽飼育には向いてないのがほとんどですが、ここでは、水槽に適した稚魚が浅場で容易に釣れ、実績のあるムツの飼育について紹介します。

1.ムツの魅力について

ある港の防波堤のサビキ釣りで、見たことがない体長15cmくらいの赤っぽい魚を数匹釣り、水槽に入れて観察しました。 目や口が割と大きく、歯があり調べてみましたら、ムツの子供だとわかりました。成魚は深海に住み、大きさも60cmぐらいにもなります。歯を持っているのが特長で、餌を食べる姿が豪快でまるでジョーズのようです。指でも噛まれたら大怪我をしそうです。しかし性質はおとなしく、他の魚との争いもありません。

2.飼育の準備をしよう

基本的には、シロギス飼育と同様の設備で構いません。 設置場所は、明るいところは避け、できるだけ暗いところが望ましいです。

・水槽
大きくなるので、できるだけ大きな水槽を用意します。最低でも90cmは欲しいです。なお、水槽内を暗くするために、水槽のガラス面にフィルムを貼るのも良いかも知れません。

・クーラー
深海の水温は20度以下と低いので、水温が上がる暑い時期は、クーラーも必要となるでしょう。クーラーの水温設定は、15度が可能なものを選びます。なお、飼育していたムツですが、クーラーなしで真夏時の水温29度でも平気でした。

3.釣りに行こう

飼育の準備ができたら釣りに行きましょう。ムツの成魚は深場に住んでいるため、船で釣ることになりますが、水槽に適した15cm前後の稚魚は浅場にいるので、外洋に面した港の防波堤などからサビキで釣ります。仕掛けはマアジ釣りと同様のもので結構です。取り扱いや運搬方法もマアジと同じです。

・釣る時期について
船では周年釣れますが、防波堤からの釣りでは夏から秋です。

・匹数について
群を作っていますので何匹も釣れますが、水槽に入れる数は余裕を持って少なめに入れます。

4.世話をしよう

世話の方法も、だいたいマアジと同様です。

・餌について
水槽に入れてからの餌付けは、大体3〜5日です。餌は釣り餌のアミを与えていました。底に落ちたものはあまり拾って食べないので、浮游性の餌を与えます。 慣れると、水面に浮いている餌を食べるようになります。歯を持っているので、クリルなどの大きめの餌をそのまま与えるのが良いかも知れません。

・水温について
ムツが住んでいる深海は水温が低いところなのですが、稚魚が生息している浅場はもっと水温が高いところです。したがって、設定水温は20度前後であれば問題ありません。 冬などの寒い時期では、15度以上に保ちます。なお、真夏時の水温29度でも大丈夫でした。

・水質について
水質にはそれほどうるさくはありません。ろ過がしっかりされていれば、問題ありません。

・混泳について
顔付きから見るとどう猛そうですが、性質は穏やかで群を作り、異種同種の混泳も可能です。ただし魚食性なので、小さい魚は食べてしまうかも知れません。

・病気について
水の汚れなどが原因でホップアイになり、目玉が脱落することがありました。 なお飼育経験では、白点病にはかかったことはありません。

5.その他の深海魚について

水槽で飼育可能と思われるものは次の魚でしょう。なお、まだ飼育や釣りの実績はありません。

・キンメダイ
水深200m以上の深海に群を作って住んでいますので、船から釣ります。昼間は深いところにいますが、夜は上層に上がり、水面近くまで上がることもあります。釣り上げた時の水圧の変化には強いです。サイズは普通30〜40cmですが、20cmくらいの小型のものを生かして持ち帰るようにすると良いでしょう。

・エゾイソアイナメ
別名ドンコとも呼ばれタラの仲間です。通常深いところに住んでいますが、防波堤などからの浅場でも釣れます。目が大きくグロテスクな姿をしています。単独で生活しますので単独飼育が賢明でしょう。

6.FAQ

7.あとがき

深海魚の飼育のポイントは、光や水温かと思います。しかし、柔軟性を持っている魚もいるので、通常の飼育方法でも大丈夫かも知れません。まだまだ未知ですので、もし興味のある方はチャレンジしてみて下さい。


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